「年代物」「オールドヴィンテージ」などのヴィンテージワインの定義は意外と曖昧です。
一般的には15年前後は熟成による変化を感じられるといいますが、その変化もワインによりまちまちです。
家の押し入れに眠っているワインが素晴らしいヴィンテージワインになって、
息子や孫と将来、昔話をしながら飲もうと思っている
そこの貴方!
ほんとにそのワイン大丈夫ですか?
熟成のリスク
記憶が確かなら、私がソムリエ(前・ワインアドバイザー)の資格を取得した2000年代初頭には
当時のソムリエ教本の中に
「ワインは瓶熟する唯一のお酒」
って書いてあった気がします。※「瓶熟」は瓶に詰めた後で熟成が進むこと
(後に、日本酒の古酒の世界や特級ラベルのウイスキーの世界観を知ったので「?」となりましたが)
その後、機会にも恵まれ世界中の様々な生産者ともお話が聞けることがあり、
瓶による熟成について尋ねた時にこんな話をされました。
「瓶熟は買った人が自由に楽しめば良いです。私たちは蔵から瓶に詰め、
出荷したタイミングが最高に美味しい状態と考えてます」
なるほど!納得でした。
だからワインを将来への投資と思って購入する人以外は熟成など気にしないで楽しんでください。
それでも
盆栽を育てるように気長に熟成を楽しみたい!
あるいは、生まれ年のワインを将来、息子や孫と飲みたいと思って保管している方へ
熟成のリスクについて
3つの注意点 を知っておきましょう。
1.保存状態による劣化
少なくても20年以上の長期熟成を目指すのなら、高温多湿の日本では物置や押し入れでの保存はおすすめできません。
一定温度と湿度、振動が少ないワインセラーを用意するとか、トンネルを貸し出しセラーにして預かってくれる県などもあるそうです。
セラーのある酒屋さんやレストランさんに長期保管を相談するのもありですよ。
保存する際に、横に寝かせたり、逆さにするのは、コルクの湿度を保つためです。
湿度が足りなくなるとコルクに亀裂が入り、酸化の原因になります。
数年の短期保存なら新聞紙にくるめて、冷蔵庫の野菜室に寝かせるのをおすすめしますよ。
2.ピークアウト
ワインにも熟成に耐えられるポテンシャルというものがあります。
熟成のピークを過ぎると劣化するわけではありませんが、香りや味わいが弱まっていきます。
目的の年数がありましたら酒屋さんと相談して、見合ったワインを用意しましょう。
残念なことにコルクにも寿命があります。
基本的には25年と言われています。
蔵出し熟成ワインは25年ごとに「リコルク」という打ち直しされているものがあるので安心ですが、一般流通しているものは液漏れしてないか?ラベルに漏れたあとがないかなどチェックが必要な場合があります。
3.破損のリスク
説明する必要もないですが、このリスクは予測できません。
災害大国日本です。
そしてついうっかり、なんてことは山ほどあります。
事が起こる前提で考え、事前に何ができるか考えて保管しましょう。
これはリスクではないですが
昔雑誌で読んで面白い考え方をする生産者がいたので紹介します。
ワインを1人の人間を考えます。
世界中に様々なタイプの個性をもった様々な年齢の人がいます。
みんなそれぞれ個性的で魅力的ですが、
ある程度年齢を重ねると世界関係なく髪は白髪になり、しわは増え、雰囲気が似てきます。
ワインの熟成もこれと似て、ある程度熟成したワインは強烈な個性はとれ優しく飲みやすい似た味わいになります。
とのことでした。面白いワインの捉え方で印象的でした。
ヴィンテージワインは最高の贈り物
ヴィンテージワインの魅力はなんといっても
「生まれ年がある」
ことですよね。
ワインに同じ年数を重ねている人生の賞賛として
贈りものに選ばれることが多いです。
ちなみに表記されているヴィンテージ(年数)は
葡萄を収穫した年です。
そこから発酵~タンク熟成~蔵元での樽熟成~輸送等を重ねて
お店に届くのは1~3年以上先くらいになります。
「先日、友人に産まれた子供の生まれ年のワインちょうだい」
は無理ゲーなのでご了承ください。
そんな子供や孫が成人してお酒が飲める年にプレゼントされることや、お祝いとして開けて一緒に家族と飲むことも多いですね。
ハズキルーペのCMの舘ひろしさんは
「これエミが産まれた年だ」
って一人で飲んでましたが・・・
退職される上司の退職祝いに入社年のワインを贈られるお客様もいらっしゃいます。
長年共に汗をかき、悩んで、励んだ年月が詰まった贈り物ですね。
気になったらヴィンテージワインを選ぼう
安心の蔵出しヴィンテージワイン【1970年代】
安心の蔵出しヴィンテージワイン【1980年代】
安心の蔵出しヴィンテージワイン【1990年代】
安心の蔵出しヴィンテージワイン【2000年代】